米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡り、埋め立ての賛否を問う県民投票が24日実施され、3択のうち「反対」が「賛成」や「どちらでもない」を上回わり、「反対」が投票資格者総数(115万3591人、24日見込み)の4分の1に達することが確実となった。県民投票条例に基づいて、玉城(たまき)デニ−知事には結果の尊重義務が生じ、同知事は首相と米大統領に結果を通知する。
沖縄で県民投票が実施されるのは、日米地位協定の見直しと米軍基地の整理・縮小の賛否が問われた1996年以来、2回目。条例に基づく都道府県単位での実施はこの時が初めてで、「賛成」が投票総数の89・09%だった。私が提出した「日米地位協定」の抜本見直しの陳情に対し、花巻市議会が今回を含めた沖縄の民意にどう対応するかが注目される。
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名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票が24日行われ、午後8時に締め切られた。琉球新報社が共同通信社、沖縄タイムス社と合同で実施した出口調査の集計結果や県が発表した投票率の推移などから、埋め立て「反対」の得票が県民投票条例で知事が「結果を尊重」し、首相と米国大統領への通知を義務付けた全投票資格者数(有権者数)の4分の1に当たる約29万票を上回ることが確実となった。
県民投票に法的拘束力はないが、辺野古新基地建設を進める日米両政府が今後、民主主義の手段で示された県民の意思にどう対応するかが焦点となる。1996年に日米両政府が米軍普天間飛行場の返還に合意してから23年、県民は知事選など県内の主要選挙に加え、移設の賛否だけを直接問う県民投票で辺野古移設に反対する明確な意思を示した。
今回の県民投票は、一橋大大学院生の元山仁士郎氏を代表とする「辺野古」県民投票の会が約9万3千筆の署名を集めて昨年9月、県に県民投票条例の直接請求を行った。県議会は昨年10月、条例案を可決したが、市議会で県民投票経費の予算案が否決された沖縄市や宜野湾市などの5市長が選択肢への不満を示すなどして予算の原案執行を拒否した。その後、全県実施の声に押された県議会が賛否2択から3択に改正した条例案を賛成多数で可決、5市長は実施に転じた。【2月24日付「琉球新報」電子版】
(写真は「辺野古」新基地建設に伴う埋め立て工事ノーを伝える琉球新報の号外=24日付「琉球新報」電子版から)
《追記―1》〜政府、困惑。しかし、方針は変えず
政府は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡る県民投票が反対過半数の結果になったものの、移設推進方針を堅持する。ただ賛成を大きく上回る反対票の重みを踏まえ、県側へのさらに丁寧な説明に努める。安倍晋三首相は、玉城デニ−知事が希望すれば週内にも会談に応じる方向で調整に入った。普天間の危険性を除去するためにも「辺野古移設以外の解決策はない」(首相周辺)として、理解を求める考えだ。政府は従来、辺野古に移設すれば普天間飛行場の基地機能が縮小され、危険性や騒音被害も大幅に減ると訴えてきた。それでも理解は広がっておらず、官邸幹部は困惑する(2月24日付「共同通信」)
《追記―2》〜県民投票のこの日、陛下在位30年式典で「琉歌」
天皇陛下の在位30年を祝う政府主催の式典が24日、天皇、皇后両陛下を迎え、国立劇場(東京都千代田区)で開かれた。天皇を国民統合の象徴と定める現行憲法下で初めて即位された陛下は、あと2カ月あまりで退位する。あいさつでは「象徴としての天皇像を模索する道は果てしなく遠く、私を継いでいく人たちが、先立つこの時代の象徴像を補い続けていってくれることを願っています」と将来への期待を語った。
式典では、沖縄県出身の歌手の三浦大知さんが、陛下が詠んだ琉歌(りゅうか)(沖縄の歌)に皇后さまが曲をつけた「歌声の響」を独唱するなどの記念演奏があった。戦中戦後の沖縄の苦難の歴史に関心を寄せてきた両陛下は演奏を見守り、拍手を送った。約1時間の式典が終わると、陛下は笑顔で手を振り、会場を後にした【2月24日付「毎日新聞」電子版、要旨】
《追記―3》〜陛下作詞、皇后作曲「歌声の響き」
「歌声の響き」は天皇陛下が皇太子の頃、名護市にあるハンセン病療養所「愛楽園」を訪れた際に「だんじょかれよし」(誠にめでたいの意)という船出を祝う沖縄民謡を聞いたのがきっかけとなり、この時のことを琉歌に詠み、それをもとに皇后陛下が作曲した楽曲。歌詞は以下の通り。
●「だんじよかれよしの歌声の響/見送る笑顔 目にど残る」(謹訳;私たちの旅の安全を願うだんじよかれよしの歌声がひびき、見送ってくれた人々の笑顔が、いつまでの目に残っています)
●「だんじょかれよしの歌や湧上がたん/ゆうな咲きゆる島 肝に残て」(謹訳;私たちが立ち去ろうとすると、だんじよかれよしの歌声が湧き上がりました。ゆうなの花が、美しく咲いている島の人々のことがいつまでも心に残っています)