花巻市議会3月定例会の一般質問が4日から始まり、伊藤盛幸議員(緑の風)が「附属機関の設置に関する条例」(令和5年3月制定)に関連し、新花巻図書館整備基本計画試案検討会議のあり方について、市側の見解をただした。これまで任意の私的諮問機関だった試案検討会議は今回、公正な行政執行に資するため、条例化によって、正式に市直属の附属機関に位置づけられた。これを受けて伊藤議員は「委員の中には請負関係者も含まれているが、問題はないか」と問うた。
これに対し、上田東一市長は地方議員の兼職を禁止した地方自治法(第92条)など当該事案にまったく関係ない法令を持ち出すなど、支離滅裂な答弁を繰り返した。また、新図書館の契約関係については、法令や市の財務規則にのっとった「競争入札」にするとした上で、「仮に試案検討会議でビジネス上の発言があったとしても、入札に影響が出ることは制度上、あり得ない」と強調した。この答弁を受けた伊藤議員は「契約に問題はないという言葉を信じたい」とし、「李下に冠を正さず」という諺(ことわざ)で最後を締めた。「誤解を招くような行動はすべきではない」という戒(いまし)めの諺だが、「ごまめの歯ぎしり」みたいに聞こえた。
この日の問答に登場した主人公は土木・建設業を営む請負業者で、公益財団法人「花巻国際交流協会」理事長と花巻商工会議所副会頭の肩書を有する「有識者委員」である。一方、JR側の鉄道事業などを請け負う独立行政法人「JRTT鉄道・運輸機構」(前身は日本鉄道建設公団)は鉄道周辺の工事の安全確保のため「線路近接工事安全対策」を定め、工事に参入できる有資格名簿を公表している。この人物もその有資格業者の一人である。以下に試案検討会議での発言録を紹介する。露骨な世論(利益)誘導が読み取れるはずである。なお、一連の経緯については当ブログ(2023年9月4日付と2024年2月8日付)を参照していただきたい。
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●「もし可能なのであればスポーツ用品店敷地を市有地にして、図書館を建てるというのが駅前案の中でも最も望ましい方向だということを私は主張させていただいているのに対して、皆さん特段の異論もなかったので、駅前案の中の第一案としてスポーツ用品店敷地にするというのは、議論の中では極めて全うで皆さん理解をしていただける内容で議論をしてきたのではないかなと私は思っておりまして…あの場所に図書館を建てて橋上化と一緒に西口の利用も皆さん交渉してもらったプランを反映させてつくりあげて行くというのが 一番良いんじゃないかなと」(令和4年9月20日開催の会議録から。原文のまま)
●「商工会議所の一員としてコメントさせていただくと、地方経済というのは、やっぱりどうしても安心を求めたり名前を求めたりして大手、大手というように行きがちなんですけれども…岩手県内でも立派な仕事をしている建設会社はありますし、花巻市内の会社でもあるので、ぜひそういう皆さんにおかれましても、できれば地域のしっかりした会社ができるのであれば地域の会社にやってもらって、そこに皆さんもコンタクトしていただいてつくり上げていくというマインドを大事にしていただきたいというように思います」(同上会議録から。原文のまま)
(写真は再質問をする伊藤議員=4日午前、花巻市議会議場で、インターネット中継の画面から)