「ぜひ、補正予算を成立させていただきたい」―。もう12年も前のことになるが、花巻市の藤原忠雅・副市長の“会食”事件に耳目を疑いながら、私は前代未聞の“土下座”謝罪の光景を思い出していた。2009年3月6日、岩手県議会の3月定例会…突然、ひな壇から降りた達増拓也知事が議員の前に手をつき、赤じゅうたんに頭をこすりつけて土下座するというハプニングが起きた。病院の無床化をめぐる補正予算案が否決されたことを受け、県政史上初の「再議権」(拒否権)を行使した。当時、達増知事はこの“謝罪芸”に「礼を尽くさせていただいた」と語ったが、内外からは「議会の権威をおとしめるものだ」という批判が殺到した。
当市でも「JR花巻駅の自由通路(橋上化)」問題をめぐって、同じような動きがあったことは記憶に新しい。「Mr.PO」(上田東一市長)は3月定例会に調査費名目の予算案を提出したが、賛成多数で否決。同じ内容の予算案を6月定例会に再提出し、付帯決議つきでやっと可決にこぎつけた。達増知事と同じ最高学府の出身だが、さすがにプライドが高いMr.POは土下座みたいな見苦しい振る舞いはしない。と思っていたら、奥の手からやおら持ち出したのは「アストロタ−フィング」(“偽草の根”運動)という米国仕込みに手法だった。当ブログでも再々言及してきたが各種団体に対し、予算案可決のための“やらせ要請”の先頭に立ったのが、いまや時の人でもある件(くだん)の藤原副市長だった。さ〜ってと…
「すべて私が悪かったことでございます。つつしんでお詫び申し上げます。以上」―。足元で「100分の10」という「減額」条例の“茶番劇”が行われていた同じ8月23日、今度は西方の「金のしゃちほこ」城主…「金メダル」がぶりオジサンこと、河村たかし・名古屋市長が市職員に直筆のこんな謝罪文を配布していた。市側に寄せられた苦情は約1万5千通。「この度は私がひきおこした金メダル事件により、皆様にお詫び申し上げます。数多くの電話メ−ル手紙等よせられ業務にめいわくをかけております」。ノ‐トに走り書きしたようなぶっきらぼうな文章にふたたびSNSが再炎上するというお祭り騒ぎ。すかさず、河村市長は今回の騒動の責任を取って、給与3か月分(150万円)の全額返上の意向を表明。さらには自ら進んで2日間のハラスメント講習会を受けるなど、“お騒がせ男”の面目躍如たるをみせた。
「100分の10(2か月)」VS「全額返上(3か月)」―。オヤっと、思った。政令指定都市の首長としては河村市長の給与は随分と少ないではないか。県庁所在地と政令指定都市を合わせた51市の中で最下位の月額50万円で、「市長自らが減額を求めた」という経緯があった。“謝罪芸”に秀でたこの人らしいと言えば、その通りである。
さ〜て、お立合い!?皆さんはわが「イ‐ハト‐ブはなまき」の常勤特別職の給与がいくらなのか、ご存じであろうか。せっかくの機会だから、この場でお示ししようと思う。「Mr.PO」の給与は月額826,000円、副市長は677,000円。電卓をはじいて欲しい。ご破算で願いましては―。「82,600円×2ケ月=165,200円」也。これが今回の”減額”処分に伴う実質額である!?…。河村市長との単純比較の是非はさておき、今回の“会食”事件の責任の取り方として皆さんは納得できますか。「達増+河村」÷2=「Mr.PO」という方程式が妥当ではないかと思うが、いかがでしょうか。”芸”のないお人かもしれないが、せめてこの程度のパフォーマンスは見せてほしいものである。”PO”(パワハラ&ワンマン)疑惑に及んではまるでどこ吹く風といった風体(ふうてい)である。皆さまのお考え聞かせていただければ、ありがたいです(コメント欄に「Mr.PO」の謝罪の作法を掲載)
(写真は議場に土下座して、世間を驚かせた達増知事=インタ‐ネット上に公開の写真から)