今回、被処分者のHP上への実名掲載を指摘したのは実は、今年8月に起きた花巻市副市長のいわゆる“会食”事件が直接のきっかけだった。この際、上田東一市長の監督責任を問うた“処分”は給料の減額10の1(2か月)。前市政下の平成25年には入札妨害や著作権侵害などの重要案件について、当時の市長は10分の3(4か月)という重い“処分”を自らに科している。猛威を振るうコロナ禍の中、県が発出した緊急事態宣言下での不祥事にしては随分と軽すぎるのではないか…とHPを点検してみたら、出てくるわ、出てくるわ。で、三度目の正直はというと―
「不適切な契約事務処理」という理由によって、令和元年7月2日付で40代の女性職員(係長級)が減給10分の1(1か月)の処分を受けたことが掲載されている。他の被処分者は部長級から係長級の5人に対する「訓告」。「決裁を経ずに契約を作成した」などとだけ書かれた事案の概要に目をむいた。世間を騒がせた“公文書”偽造問題が頭をよぎったからである。懲戒免職事案については当然のことながら、その処分理由が事細かに記載され、市長コメントも付されているケ−スもある。しかし、今回の事案については「契約事務」という市政運営の根幹にかかわる政策案件にもかかわらず、その処分理由の詳細はなぜか、伏されたままである。
一連の「処分人事」疑惑をめぐって、その真相解明を求める「市長へのメ−ル」を提出してすでに1週間近くがたつ。この「黙殺」戦術に対抗するため、今回の事案についてもその詳細な処分理由を明らかにするよう、同日(10月31日)付で文書開示請求をした。“人事権”(アメとムチ)ちらつかせながら、霞が関(官僚)を支配下に置いた永田町界隈の光景が二重写しになる。まさに「上田流」の真骨頂ではある。
(写真は処分理由が不透明なHP上の掲載=花巻市のHPから)
《追記》〜おごれる者、久しからず(コメント欄に写真掲載)
総選挙投開票日の31日、花巻市内で“青い目”の筑前琵琶奏者、スイス生まれのシルヴァン・ギニヤ−ルさん(70)の演奏会が開かれた。市内の琴愛好グル−プ「筝曄会」のコンサ−トにゲストとして招かれ、『平家物語』の名場面「熊谷と敦盛」(敦盛の最期)の弾き語りを披露した。ギニヤ−ルさんの切々たる琵琶の旋律に聞きほれながら、私は無意識のうちに、あの有名な書き出しを脳裏に思い浮かべていた。
「祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり/娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす/おごれる者、久しからず、ただ春の夜の夢のごとし/猛き者もつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ」…。足元の“選挙狂騒曲”の光景がふいに「源平合戦」を呼び戻したのかもしれない。「(宮沢)賢治さんのふるさとで演奏できたことがとてもうれしい」とギニヤークさん。会場ではまるで、その賢治の物語世界を連想させるような「ひかるの世界」展がコラボ開催された。花巻小学校5年、大平ひかるさん(10歳)がカラ−マ−カ−を使って描いた個展で、会話が苦手なひかるさんは「自然の仲間たちの楽しい姿を見て…」とニッコリほほ笑んだ。