新花巻図書館やJR花巻駅の橋上化など未来を占う重大課題が山積する中、花巻市議会の12月定例会が12月2日に開会する。当局と議会がどう向き合うのか―まさに「二元代表制」の真価が問われる“論戦の場”を今度は市民の目線で評価しようという試みが行われる。企画したのは市民有志でつくる「花巻市民の権利を守る会」で、12月5日から3日間行われる一般質問を同会のフェイスブック(FB)に開設するプラットフォ−ムで集約、年内にその結果を公表する。名づけて「市民による辛口採点大会」…次の三つの「喝(かつ)」を基準に採点する、いわゆる議員の“通信簿”である。
●行政にすり寄るだけの保身議員には喝を!
●的外れの質問をする議員には喝を!
●無意味な答弁を長々として質問時間を奪う行政には喝を!
一般質問はインタ−ネット中継やラジオ放送(エフエムワン)、録画配信などでも視聴できる。質疑応答は1人60分以内、開会は午前10時から。詳しくは市議会のHPで。以下に議会基本条例の関連部分を掲載し、質問者の一挙手一投足に目を注ぎたい。今度は市民の側の眼力が試される番である。懸案(図書館と橋上化)を取り上げるのは7人。なお、今夏の改選市議会以降、一度も質問に立たない議員も5人(うち新人2人)にのぼる。
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“議会憲法”とも言われる「花巻市議会基本条例」(平成22年6月施行)は議会と議員の役割について、次のように規定している。
第4条「議会の活動原則」〜「議会は、市政の監視及び評価並びに政策立案及び政策提言を行う機能が十分発揮できるよう、円滑かつ効率的な運営に努めなければならない。議会は、公正性及び透明性を確保し、市民に開かれた運営に努めなければならない。議会は、市民の多様な意見を的確に把握し、市政に反映させるための運営に努めなければならない」
第5条「議員の活動原則」〜「議員は、議会が言論の場であること及び合議制の機関であることを認識し、議員相互間の自由な討議を尊重しなければならない。議員は、市政全般についての課題及び市民の意見、要望等を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研さんに努め、市民の代表としての自覚を持って活動をしな ければならない。議員は、議会の構成員として、市民全体の福祉の向上を目指して活動しなければならい」
《質 問 一 覧》
<12月5日>
●伊藤盛幸(はなまき市民クラブ)
1、新花巻図書館の整備について
2、全国瞬時警報システム(Jアラ−ト)の発令に伴う行動計画について
●阿部一男(社民クラブ)
1、農業問題について
2、JR花巻駅橋上化・東西自由通路の整備について
3、新花巻図書館の整備について
●久保田彰孝(日本共産党花巻市議会議員団)
1、国民健康保険税について
2、インボイス制度について
3、ごみ集積所について
●小原保信(明和会)
1、笹間第二小学校の活用について
2、農業振興について
●小森田郁也(はなまき市民クラブ)
1、奨学金返還補助制度について
2、花巻市奨学金制度について
<12月6日>
●照井明子(日本共産党花巻市議会議員団)
1、JR花巻駅橋上化・東西自由通路の整備について
2、スク−ルバスについて
●伊藤忠宏(明和会)
1、大迫地域の道路環境の充実について
2、有害鳥獣対策について
3、遠隔診療について
●鹿討康弘(はなまき市民クラブ)
1、SL銀河について
2、新花巻図書館建設候補地について
3、学校給食費無償化について
4、小中学校における不登校について
●櫻井肇(日本共産党花巻市議会議員団)
1、改正個人情報保護法について
2、新花巻図書館の整備について
●佐藤現(はなまき市民クラブ)
1、シルバ−人材センタ−への支援について
2、教育環境の充実について
<12月7日>
●本舘憲一(はなまき市民クラブ)
1、JR花巻駅橋上化・東西自由通路の整備について
●似内一弘(無会派)
1、行政サ−ビスの向上及び効率的な行政運営について
2、新型コロナウイルス感染症対策について
●佐々木精市(無会派)
1、コミュニティ会議について
2、人材育成について
●菅原ゆかり(無会派)
1、予期しない妊娠への支援について
2、ひとり親世帯への支援について
3、小中学校における児童生徒のてんかん発作時の対応について
(写真はある議会報告会の光景。この時、司会役のベテラン議員の妨害で質問をさえぎられた苦い経験を思い出す=2019年2月5日、花巻市のまなび学園で)
《追記》〜あるとんでも「ハプニング」!?(当時のブログから)
上記写真説明の「苦い経験」について、当時のブログからその部分を再録する。なお、文中の「ベテラン議員」とは現在6期目の大原健議員(上掲写真の右端)。ハプニングは私が「議員定数削減」問題について、質問した際に起きた。
「この質問はこの場にふさわしくない。あなたの質問にみんな疲れている。個人として議会側に問いただせばよい」―。答弁をさえぎる形で、ある市民が突然発言した。一瞬、頭が真っ白になった。「議員定数の問題は議会活動を支える生命線ではないのか」と口ごもっていた次の瞬間、今度はさらに信じられない出来事が現出した。司会役の大原健議員(無所属)がこの発言を「動議」として認めるとし、「何人かの参加者の方々もうなずいていた」とこれに同調する態度を見せた。まさか「サクラ」とは思いたくはないが、この市民の発言の真意を測りかねた。実際にそう思ったのかもしれない。そんなことよりも、私は一市民の“不規則発言”をタテに質問を封じようとする魂胆(こんたん)にうそ寒い精神の堕落を見た思いがした。腐臭が漂ってきた。「公正性を担保できない司会者の下ではいくら質問を続けてもムダだ」として、私は残余の質問をとりやめた。