「たとえば、2年前に開店した道の駅『はなまき西南』なども含め、まちの活性化については全体的な相乗効果が欠かせない」―。花巻市議会12月定例会の一般質問で、本舘憲一議員(はなまき市民クラブ)が懸案の「JR花巻駅(東西自由通路)」整備について、「最近、橋上化だけでは活性化は難しいと認識が後退したように見える」とただした際の上田東一市長の答弁である。市郊外に位置する道の駅を地盤に持つ本舘議員はこの恩着せがましい発言に「質問内容に関係ないではないか」と怒りをあらわにしたが、私は「ついに“永田町病”がここまできたか」と宙を仰いだ。
「ご飯論法(ごはんろんぽう)」―。一時、永田町界隈でこんな“論点ずらし”が流行(はや)った。「朝ご飯は食べたか」という質問に対し、パンを食べたにもかかわらず「ご飯(白米)は食べていない」と答えるように、質問者の意図をあえて曲解し、論点をはぐらかす手法である。さて、上田市長の得意技の「ご飯論法」とは―
総合花巻病院の移転整備や中央広場、子育て世帯向け賃貸住宅、災害公営住宅、中心部での道路整備…。「全国で3番目に策定」が自慢の上田市長はその「立地適正化計画」を振りかざしてこう力説した。「橋上化と図書館をのぞいてほどんどの計画が実現しており、この実績がまち全体の底上げを支えている。活性化とはそういうものだ」―
「ウソだろ」と思わず、眉につばを付けた。当初、病院の移転整備に伴って、年間80万人の誘客効果があると喧伝されたが、このスロ−ガンはいつの間にか計画書から姿を消してしまった。計画段階であった多目的ホール(234席)なんて、どこを探してもありゃしないじゃないか。その一方で、ふだんから人気(ひとけ)が少ない中央広場では「ヒカルヒロバ2022」と銘打ったイルミネ−ションの飾り付けが今月3日から始まった。全国的に節電が呼びかけられているさ中、この倒錯した景色だけが闇夜に不気味に浮かんでいる。
「最後の大プロジェクトである橋上化と図書館について、この二つは別物の計画だとことあるごとに述べているが、市民感覚としてはワンセットの方が駅前活性化には効果があると思う」―。本舘議員がこう追い打ちをかけると、上田市長は「たしかに一緒の方が活性化にはつながると思う。ただ、立地場所については駅前と花巻病院跡地に市民の意見が分かれており、今の段階で一方的に決めることはできない。今後の若者の動向次第ではワンセットで進めることもあり得る」とチラリと本音をもらした。
「橋上化と西南道の駅と」―。上田市長が「ご飯論法」を持ち出してまで「無理」を押し通そうという底意が見え隠れする。「絵に描いたモチ」(絵空事)になることを一番、恐れているのは他ならない行政トップの上田市長であるからである。「若者総動員計画」―。今年のイ−ハ−トブの流行語大賞には市長好みの「若者世代」が受賞すること、請(う)け合いである。
(写真は資料に目を落としながら、質問する本舘議員=12月7日午前、花巻市議会議場で)
《追記》〜「市民による辛口採点大会」へのご案内
12月5日から7日まで行われた花巻市議会12月定例会の一般質問を対象にした「市民による辛口採点大会」(「花巻市民の権利を守る会」主催)への入場は下記から。フォ−ムの開設は2月5日午前10時から同15日正午まで。質問一覧は11月29日付当ブログを参照ください。